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丹藤先生から

今こそ教育の原点回帰を授業に思う

人工知能(Artificial intelligence、以下AI)の「活躍」が目覚ましい。AI棋士が人間のプロ囲碁棋士に勝利して話題となった。また、2000万件もの医学論文を学習したAI医師が特殊な白血病を見抜いたニュースにも驚いた。飛躍的な速さでAIが進化している。2045年にはAIが知識・知能において人間を超越し、科学技術の進歩を担うと主張する学者もいる。

 オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授によると、今後1020年で47%の仕事が機械に取って代わられるという。これとは別にある雑誌の特集記事で、機械が奪う職業・仕事ランキングが発表された。販売員、事務員、秘書、会計士、運転手等が上位を占めている。教師は上位50位に入っていなかった。しかしながら、教職も聖域ではないということは容易に想像できる。

 職業として「生き残る」ためのキーワードは「創造性」だそうだ。ここ10年、英語教育はその歴史上最大の改革期にあると言っても過言ではなく、新学習指導要領が小学校で完全実施される2020年は、日本の英語教育におけるエポックメイキングとなる。それに向け、矢継ぎ早に文部科学省が示す改革案。英語教師が一丸となって克服するしか他はない。教師の一番の仕事は何かと考える。授業である。今昔、そうだ。授業こそ教師の原点である。授業改善の必要性が叫ばれて久しいが、「創造的な」授業改革こそが今現場の教師に求められている喫緊の課題であり、この難局を乗り切る唯一の解決策であると確信する。創造性を持った教育活動の実践が、我々「人間教師」が生き残る道であると言える。

 本研究会が行う授業研究の取組は地道で牛歩だ。しかし、強い信念と情熱を持つ教師が、「創造的に」磨き合うその意義は間違いなく大きい。教育は100年の計と言う。我々の積年の努力により、100年後もAI教師ではなく人間教師が子どもたちの前に立ち、夢と人生を語っていることを切に願う。

丹藤 永也 Hisaya TANDO
青森公立大学経営経済学部准教授